渦流探傷器の価格相場

渦流探傷器の導入にあたって、コストは大きな関心事の一つです。しかし、渦流探傷器の価格は、製品単体のスペックだけでなく、検査の自動化レベルやサポート体制、校正の要否などによって大きく変動します。

本ページでは、用途別の価格帯目安や、導入コストを左右する要因、そしてROI(投資対効果)を考える上での重要な視点を整理しました。

タイプ別 価格帯の目安

一般的な市場価格を基準としたタイプ別の価格帯目安を紹介します。構成や仕様により変動するため、参考としてご覧ください。

タイプ 価格帯の目安
ポータブル型 50万円~150万円
据置型 200万円~800万円
ライン用 300万〜2,000万円超
※2026年6月2日時点、Googleにて「渦流探傷器」と検索し、上位50位サイトを調査。
「渦流探傷器」製品・メーカー公式サイトと製品・企業検索プラットフォームサイトにある製品30社を調査。

ポータブル型

ポータブル型
引用元:ACTUNI公式HP
https://www.actuni.co.jp/ndi/maint_inspc/eddymobile.html

手動検査やフィールド保守に用いられるハンディタイプの渦流探傷器は、数十万円から百万円台が相場です。このタイプは機動性を重視しており、基本的なクラック検出性能を備えています。

PCやタブレットと接続して使用するUSB型の場合、さらにコストを抑えられる傾向にあります。現場での簡易検査や、製造ラインのバックアップとして導入する場合に適したモデルが中心です。

参考:オリックス・レンテック 測定機ガレージ
https://measuring-instruments-garage.orixrentec.jp/shop/g/g520186/
2026年6月調査時点

据置型(保守検査用)

据置型(保守検査用)
引用元:ポニー工業公式HP
https://www.ponyindustry.co.jp/products/65.html

設備や熱交換器の保守点検に用いられる据置型は、数百万円から一千万円を超える場合があります。高度な周波数設定や信号解析機能、アレイプローブへの対応といった性能が価格を左右する要因です。

検査員のスキルを補うための高度な解析ソフトウェアが搭載されていることが多く、重要インフラの保全において信頼性を担保するための投資となります。

ライン用(インライン)

ライン用(インライン)
引用元:ACTUNI公式HP
https://www.actuni.co.jp/ndi/eddy_crnt/eddylm.html

生産ラインに組み込む自動検査システムは、数百万から数千万円規模になるのが一般的です。検査対象に合わせたプローブの特注設計や、PLC等の搬送機と連動するI/O制御、NG排出機構との統合など、システム全体としての構築が求められます。

量産部品の全数検査を目的としたモデルでは、低コストを重視したライン用渦流探傷器も存在しています。

用途に応じた機器選定が
重要

渦流探傷器の価格は、機種ごとのタイプや検査の自動化レベル、サポート体制などによって変動します。そのため、金額の大小だけで判断せず、自社の検査対象や生産ラインの条件に見合った機器を選ぶことが重要です。求める性能とコストのバランスを見極めることで、導入後の運用しやすさにもつなげられるでしょう。

当メディアでは、「量産ライン」「凹凸・曲面」「R&Dなどの高度解析」の検査シーン別におすすめ機種を紹介しています。自社の検査現場に合う1台を見つける参考にしてください。

価格を左右する3つの要因

①チャンネル数(1ch/2ch)

チャンネル数は探傷器の脳ともいえる処理数です。1チャンネルのみであればシンプルで安価ですが、多チャンネル化するほど価格は上昇します。

例えば、複雑な形状の部品で同時に複数箇所を検査したり、2種類の欠陥を同時に検出したりする場合は、多チャンネルモデルが必須です。必要な検査ポイント数に応じて機器を選択することが、無駄な投資を防ぐ第一歩となります。

②自動化の範囲
(単体/ライン組込み)

単体機で購入するか、ライン組込みのシステムとして構築するかで、費用は大きく異なる点に注意が必要です。ライン組込みの場合、プローブの治具設計や搬送機とのI/O制御、判定信号の連携などのエンジニアリング費用が発生します。

脱着式端子台で周辺機器と連携しやすい汎用モデルを活用することで、カスタム設計費を抑えながら自動化を実現する選択肢も有効です。

③サポート・校正証明書の
有無

校正証明書やトレーサビリティ書類の有無も価格に含まれる場合があります。JIS Z-2316-2等の規格に準拠した校正証明書は、IATF16949などの品質監査において必須となることが多いため、標準添付されているか確認しましょう。

また、修理対応や技術指導、デモ機レンタルなどのサポート体制が充実しているメーカーは、導入後の運用コストを含めた生涯費用での比較が重要です。

導入コストとROIの考え方

人件費削減効果の試算

目視検査やPT・MT検査からの自動化による機器導入費用の回収期間は、以下の式で試算できます。

回収期間(年)= 機器導入費用 ÷(年間検査工数 × 人件費単価 × 自動化による削減率)

仮に、1日8時間・年間250日稼働の目視検査1名分(年間約2,000時間)を自動化に置き換え、人件費単価を2,500円/時間と仮定すると、年間約500万円の工数削減に相当する計算です。自社の検査工数と人員構成を当てはめることで、導入費用の回収イメージを具体化できます。

不良流出防止コストとの比較

不良品が後工程や市場に流出した場合のコストは、選別・回収作業、出荷停止による機会損失、原因究明と再発防止対応、取引先からの信頼低下など、複数の層で発生する点に注意が必要です。

特に自動車部品では、1個の不良が完成車メーカーでの組付け後に発見されると、対応範囲がロット単位に拡大します。全数検査の自動化は、これらの甚大な流出コストを工程内で食い止めるための投資という位置づけです。

IATF/PPAP対応コストの削減

自動車部品メーカーなどにおいて、品質管理監査への対応は莫大な事務工数を要します。JIS準拠の校正証明書が添付され、検査データを自動で記録・出力できる機種を導入すれば、監査用資料の準備時間を大幅に削減できるのがメリットです。

デジタルデータの活用により、親会社からの監査対応における手戻りや再検査コストを抑制できるため、管理コストの削減効果も無視できません。

見積もりの取り方・相談の流れ

渦流探傷器の導入を成功させるには、現状の課題を明確に伝えることが重要です。以下のステップで進めましょう。

STEP1
用途・検査対象を整理する

まずは「何を・どこまで・どのくらいの速度で検査したいか」を整理します。材質、形状、想定される欠陥の種類、ラインのスピードなどをメモにまとめましょう。

特に生産ラインのタクトタイムは、探傷器選定の最優先事項となります。

STEP2
メーカーに相談・見積もり依頼

整理した情報を元にメーカーや商社に見積もりを依頼しましょう。この際、カタログスペックだけでなく、「カスタム仕様への対応が可能か」「既存ラインとの連動実績はあるか」を確認してください。

予算枠を伝えておくことで、構成案の調整を柔軟に行ってくれる場合もあります。

STEP3
デモ機・立会試験で確認

見積もりと並行して、サンプルテストやデモ機の貸し出しを依頼しましょう。実際のワークで欠陥が正しく検出できるかを確認することが、失敗しないためのポイントです。

サンプル見極め試験から運用サポートまで一貫対応してくれるメーカーを選ぶことをおすすめします。

品質保証の自動化で
リスクを抑える

渦流探傷器の導入コストは、人件費削減や品質リスク回避、監査対応工数の削減などを考慮したトータルROIで判断することが大切です。単なる「検査機器の購入」ではなく、製造品質を保証するための「自動化投資」と捉えれば、生産性を維持しつつ長期的なメリットを享受できます。

まずは目的の明確化から始め、信頼できるメーカーのデモ試験を通じて、貴社のラインに適した1台を選定してください。渦流探傷器の仕組みやメリットなど基礎知識を知りたい方は、以下のページでご確認いただけます。

【検査シーン別】
渦流探傷器のおすすめ3選
3 SELECTIONS

渦流探傷器は、スペックだけを見て選ぶと、実際の検査対象の形状や設置環境と合わず、キズの見逃しや過検知が現場で頻発することがあります。
自社の現場で効果を発揮する1台を選べるよう、検査シーン別におすすめの機種を調査しました。

秒単位で流れる
量産部品の検査
ベアリング
シャフト・ローラー
エディーインスペクター
EddyInspector LXⅡ
アクチューニACTUNI
ACTUNI
画像引用元:ACTUNI公式サイト(https://www.actuni.co.jp/ndi/eddy_crnt/eddylx2.html)
寸法(mm・W×H×D)
370 × 149 × 350
JIS準拠の校正証明で
導入・監査をスムーズに

親会社への提出やPPAP等の品質監査に求められるJIS Z 2316-2準拠の校正証明書を、追加費用や別申請なしで標準添付。書類が最初から揃うため、社内説得から導入後の監査対応まで、スムーズに進められる。

高速デジタル処理×必要十分な
機能で、現場が使いこなせる

過剰スペックを省き、量産検査に必要な機能へ絞り込むことで、専門知識がなくても扱いやすい1台。そのうえ、高速デジタル処理により回転ブレや外乱ノイズを抑える機能を備え、タクトタイムが厳しい量産ラインでも安定した全数検査体制を整える。

凹凸・曲面・
段差面の検査
エンジンブロック
シリンダー・歯車類
スタトグラフ
STATOGRAPH CM+
日本フェルスター
STATOGRAPH CM+
画像引用元:フェルスター公式サイト(https://www.foerstergroup.com/en/statograph-cm-cm)
寸法(mm・W×H×D)
211 × 133 × 317
複雑形状のワークでも
きずを見逃さない

凹凸・曲面・段差面でセンサーと部品の距離がブレることによるノイズを、独自の補正機能で自動補正。従来機では形状由来のノイズに埋もれていた微細なきずのみを抽出し、量産ラインでの過検知を防ぐ。

見てわかるエビデンスで
厳しい品質監査を突破

波形だけでは経験がないと判断が難しい穴・段差・曲面でのノイズがきず信号と重なりを色付き画像に変換し、加工形状はパターン認識で自動処理。視覚的なエビデンスとして記録できるため、海外OEMや親会社の厳格な品質監査にも対応できる。

R&Dでの
高度解析
試作品・不具合品
EV新規部品
エクタン
Ectane 2
エディーファイテクノロジーズEddyfi Technologies
Eddyfi Technologies
画像引用元:ポニー工業(正規代理店)公式サイト(https://www.ponyindustry.co.jp/products/65.html)
寸法(mm・W×H×D)
279 × 254 × 158.8
きず状態の可視化で
原因究明が進む

線でなぞる検査とは異なり、最大256の極小センサーを並べて面で読み取るアレイ技術を搭載。微小なクラックの形状や深さを2D/3Dのカラーマップで鮮明に可視化し、原因究明のためのエビデンスを提供する。

再解析で判定基準を
作り込める

スキャンした膨大な生データをPCにすべて保存できるのが強み。検査後でも、PC上でしきい値や周波数を変えて再解析できる。手探りになりがちな新規部品の複雑な量産検査基準の策定において、データに基づいたルール作りを実現する。

検査シーン別

渦流探傷器3選

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