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自動車部品で渦流探傷器を使うときの選び方

自動車部品の製造ラインでは、EVシフトに伴う品質基準の厳格化、IATF 16949が求めるトレーサビリティや検査体制構築への対応、そして慢性化する検査員不足などから、渦流探傷器(ECT:Eddy Current Testing)への切り替えが加速しています。

本ページでは、自動車部品向け渦流探傷器導入の背景と、ライン選定で押さえるべきポイント・よくある失敗を解説します。

自動車部品の検査で渦流探傷器
への切り替えが急増する理由

EVシフトに伴う回転部品の
品質要求強化

自動車業界ではエンジン車からEV(電気自動車)への移行(EVシフト)が進み、モーターシャフト・ベアリング・ギア類に求められる品質水準は従来より厳しくなっています

こうした要求水準の引き上げへの対応策として、非接触かつ高速できず等を検出できる渦流探傷器の採用が広がっているのが実情です。

IATF 16949が求める
トレーサビリティと検査体制

自動車産業の品質マネジメント規格であるIATF 16949では、製造工程における検査記録のトレーサビリティ(検査内容を追跡できる状態)と、検査方法の根拠の明示が求められます。

渦流探傷器はラインに組み込んだまま全数インライン検査のデータをリアルタイムで記録・出力できるため、こうした要求への対応手段として機能するでしょう。

検査員の人手不足と
目視検査の属人化からの脱却

製造現場では熟練検査員の確保が年々困難になっており、検査員によって判定基準が異なる目視検査への依存は、品質のばらつきにつながります。

渦流探傷器では、あらかじめ設定した閾値しきいちを超えた試験体をNG判定する仕組みにより、初期の感度設定後は誰が操作しても同一基準で検査できるため、品質の均一化と省人化を同時に実現可能です。

自動車ラインで失敗しない
渦流探傷器選びのポイント

【過検出対策】
リフトオフ変動に強いか

検査で欠陥でないものをNGと判定してしまう過検出(誤報)の主因の一つとして、検査対象部品(ワーク)表面とのリフトオフ(距離)変動が挙げられます。検査時の振動や治具の摩耗によってこの距離が変化すると、探傷信号にノイズが混入する点が課題です。

渦流探傷器は原理上リフトオフ変動の影響を受けやすい検査方式のため、リフトオフ補正機能や追従型バランス、安定したプローブ保持機構を備えた機種を選ぶことが、自動車ラインでの誤報率を抑える鍵になります。

【タクト追従性】秒単位の
自動ラインとPLC連携できるか

量産ラインでは部品が数秒間隔で流れるため、探傷器の応答速度がライン速度(タクトタイム)に追従できるかどうかが重要です。

ラインの動作を統合制御するPLC(プログラマブルコントローラ)と連携可能な渦流探傷器を選ぶことで、既存ラインへスムーズに組み込めます。

【プローブ選定】複雑なワーク形状にフィットさせられるか

ベアリング軌道輪・シャフト段差部・歯車の歯元など、自動車部品には複雑な形状が多く、部品表面に近接させる検査用センサーであるプローブの形状が検出精度を左右する要素です。導入時には、対象部品の形状に応じたプローブのカスタマイズに対応できる機種・メーカーを選ぶことが欠かせません。

【段取り替え】多品種混流ラインでの切り替えのしやすさ

複数の品番を同一ラインで扱う場合、品番切替の際に検査条件の切り替えに時間がかかる機種では、ライン停止や段取り待ちといったロスが生まれます。

多品種が混流したラインに渦流探傷器を取り入れる場合、複数の検査条件の切り替えの早さが稼働率を左右する重要な要素です。

量産全数検査に見合った
機種選びを

自動車部品ラインへの渦流探傷器導入では、過検出への対策、PLCとのタクト連携、ワーク形状に応じたプローブ選定、多品種混流ラインでの切り替えのしやすさといった選定ポイントを、現場条件に合わせて確認しておくことが重要です。EVシフトによる品質要求の高まりや検査体制の整備にも対応できるよう、自社のライン環境を整理したうえで機種を検討していきましょう。

当メディアでは、「量産ライン」「凹凸・曲面」「R&Dなどの高度解析」の検査シーン別におすすめ機種を紹介しています。自社の検査現場に合う1台を見つける参考にしてください。

実ライン導入で
よくある失敗と対策

搬送系のガタつきを
考慮せず、実機でエラー連発

スペック確認のみで機種を選定した場合、実際のラインで運用した際に搬送治具のガタつきや振動によってリフトオフが想定外に変動し、エラー信号が頻発するケースがあります。

導入前に現場環境を再現したデモ検査を実施し、同等の条件下での感度と誤報率を確認することが重要です。

プローブの摩耗が早く、
ランニングコストが膨大に

搬送時の部品との接触や現場環境によってプローブ先端が摩耗し、交換頻度が高くなることがあります。プローブの単価や交換頻度によっては、ランニングコストが高くなるケースも珍しくありません。

導入前に、プローブと部品を直接接触させる設計か、エアギャップを取って非接触で運用する設計かを整理し、想定使用年数・交換頻度・プローブ単価から年間ランニングコストを試算しておくと、稟議資料の精度も上がります。

あわせて、スペアパーツの国内在庫や緊急対応リードタイムを確認できる国内専業メーカーを選べば、長期運用の予算計画も立てやすくなるでしょう。

端部(エッジ部)のノイズを
きずと判定してしまう

シャフト端部やベアリング端部などの複雑な形状の検査では、形状変化が渦電流の流れを乱してノイズ信号を発生させ、きずと誤判定するケースがあります。こうした現場固有の問題には、導入前に実ワークを用いた見極め試験を提供するなど、サポート体制が充実したメーカーを選ぶことが有効です。

実ラインでの検証が
導入成功のポイント

渦流探傷器を導入する際にカタログスペックだけで判断してしまうと、搬送系のガタつきによる誤報やプローブの摩耗、端部形状によるノイズといった現場固有の課題を見落としがちです。そのため、実ワークを用いたデモ検査で感度や誤報率を事前に確かめ、スペアパーツの供給やサポート体制まで含めて見極めることが、導入後の失敗を防ぐことにつながります。自動車以外の業界での選び方については、下記のページもあわせてご覧ください。

【検査シーン別】
渦流探傷器のおすすめ3選
3 SELECTIONS

渦流探傷器は、スペックだけを見て選ぶと、実際の検査対象の形状や設置環境と合わず、キズの見逃しや過検知が現場で頻発することがあります。
自社の現場で効果を発揮する1台を選べるよう、検査シーン別におすすめの機種を調査しました。

秒単位で流れる
量産部品の検査
ベアリング
シャフト・ローラー
エディーインスペクター
EddyInspector LXⅡ
アクチューニACTUNI
ACTUNI
画像引用元:ACTUNI公式サイト(https://www.actuni.co.jp/ndi/eddy_crnt/eddylx2.html)
寸法(mm・W×H×D)
370 × 149 × 350
JIS準拠の校正証明で
導入・監査をスムーズに

親会社への提出やPPAP等の品質監査に求められるJIS Z 2316-2準拠の校正証明書を、追加費用や別申請なしで標準添付。書類が最初から揃うため、社内説得から導入後の監査対応まで、スムーズに進められる。

高速デジタル処理×必要十分な
機能で、現場が使いこなせる

過剰スペックを省き、量産検査に必要な機能へ絞り込むことで、専門知識がなくても扱いやすい1台。そのうえ、高速デジタル処理により回転ブレや外乱ノイズを抑える機能を備え、タクトタイムが厳しい量産ラインでも安定した全数検査体制を整える。

凹凸・曲面・
段差面の検査
エンジンブロック
シリンダー・歯車類
スタトグラフ
STATOGRAPH CM+
日本フェルスター
STATOGRAPH CM+
画像引用元:フェルスター公式サイト(https://www.foerstergroup.com/en/statograph-cm-cm)
寸法(mm・W×H×D)
211 × 133 × 317
複雑形状のワークでも
きずを見逃さない

凹凸・曲面・段差面でセンサーと部品の距離がブレることによるノイズを、独自の補正機能で自動補正。従来機では形状由来のノイズに埋もれていた微細なきずのみを抽出し、量産ラインでの過検知を防ぐ。

見てわかるエビデンスで
厳しい品質監査を突破

波形だけでは経験がないと判断が難しい穴・段差・曲面でのノイズがきず信号と重なりを色付き画像に変換し、加工形状はパターン認識で自動処理。視覚的なエビデンスとして記録できるため、海外OEMや親会社の厳格な品質監査にも対応できる。

R&Dでの
高度解析
試作品・不具合品
EV新規部品
エクタン
Ectane 2
エディーファイテクノロジーズEddyfi Technologies
Eddyfi Technologies
画像引用元:ポニー工業(正規代理店)公式サイト(https://www.ponyindustry.co.jp/products/65.html)
寸法(mm・W×H×D)
279 × 254 × 158.8
きず状態の可視化で
原因究明が進む

線でなぞる検査とは異なり、最大256の極小センサーを並べて面で読み取るアレイ技術を搭載。微小なクラックの形状や深さを2D/3Dのカラーマップで鮮明に可視化し、原因究明のためのエビデンスを提供する。

再解析で判定基準を
作り込める

スキャンした膨大な生データをPCにすべて保存できるのが強み。検査後でも、PC上でしきい値や周波数を変えて再解析できる。手探りになりがちな新規部品の複雑な量産検査基準の策定において、データに基づいたルール作りを実現する。

検査シーン別

渦流探傷器3選

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